HUFFINGTON POSTに「2013年の世界音楽市場を数値で分析。日本が二桁減少、世界はデジタル音楽へ本格移行」という記事が掲載されていた。元記事はALL DIGITAL MUSICの「世界の音楽売上を数値で分析。日本は二桁減少、世界はデジタル音楽が主軸に移行」という記事だ。
面白いと思ったのは、記事をそのまま読むと、世界の音楽市場はデジタルに移行し、トップの米国は前年より0.8%成長し、しかもデジタルはすでに60%を占めるまでになっている、と読める点。
その傾向は3位のドイツ(1.1%成長、デジタル21%)、4位のイギリス(2.2%成長、デジタル44%)にも見られるのに、2位の日本は売上が前年比16.7%も減少し、デジタルが占める割合はわずか16%しかない。
素直に読めばそういうことになる。日本の音楽産業は世界2位で、トップの米国が44億7,000万ドル、日本が30億1,000万ドル、3位のドイツが13億7,000万ドルだから、米国と日本のトップ2が頭抜けている。
前年より減少しているのは、トップ10のうち日本(2位、16.7%減)、オーストラリア(6位、8.4%減)、カナダ(7位、2.5%減)、ブラジル(9位、1.7%減)のみで、やはり日本の16.7%減というのは問題がありそうなくらい突出している。
これは問題だな、日本の音楽産業はここで大胆な変革をしないと、ダメになっちゃうんじゃないかな、やはりデジタルに移行できてないのが問題だよな、とかいろいろ考えるわけです。
ところが、これを1人当たりの数字に直してみるとちょっと違って見えてくる。面倒なので概算しかしないけど。 Wikipediaから引用した人口で比べてみる(つまり、年代が微妙に違い、正確じゃないってことです)。米国(3億1,700万人)、日本(1億2,600万人)、ドイツ(8,033万人)、イギリス(6,318万人)、フランス(6,108万人)で比べてみる。
音楽産業の1人当たり売上高は、次のようになる。
アメリカ | 14.1ドル | 8.46ドル |
日本 | 23.9ドル | 3.82ドル |
ドイツ | 16.99ドル | 3.56ドル |
イギリス | 20.63ドル | 9.07ドル |
フランス | 15.65ドル | 3.59ドル |
単純に1人当たりの音楽消費額に直すと、日本は突出してるのがわかる。カッコ内は、やはり単純に消費額に占めるデジタルの割合で算出した値。簡単なグラフにしてみた。
こちらを見ると、また状況が変わってくる。確かに米国、英国はデジタルの割合が高いが、日本はドイツ、フランスの水準と並んでいて、それほど低いわけではない。グロスで見れば低いが、1人当たりで見たらそんなに低いわけではない、といった感じだ。
これを90年代あたりから20年規模で細かく見たら、もうちょっと違った景色が見えてくるのではないだろうか。あるいは、単純に人口で1人当たりの額を出したが、年代による音楽消費額も変わってくるはずなので、そのあたりも検証するともっと面白い結果が出るかもしれない。
その結果として、なぜ日本の音楽消費がこれほど高いのか、そのあたりをちゃんと検証しないと、単純にデジタル化されれば売上が増えるぞ、などとは言えないのではないかと思えてくる。
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