2013年1月26日土曜日

新刊「Kindle新・読書術」

Kindle新・読書術
Kindle新・読書術すべての本好きに捧げる本
武井一巳
翔泳社
1,344円
1,280円 [Kindle版]
2013/01/25発売



 はじめに

「電子書籍元年」という言葉で、電子書籍が語られるようになって、すでに何年も経つ。掛け声ばかりで、日本ではなかなか実現しなかった世界だ。
 2012年11月、その電子書籍が、ようやく日本でも本格的な産声を上げようとしていた。米国に遅れること5年、とうとう日本にアマゾン・キンドルがやってきたのだ。
 日本の電子書籍は、早くから独自の発達をしてきた。一時期国内で流行したケータイ小説やケータイ漫画など、「電子機器端末で読める小説やコミック」を電子書籍と呼ぶなら、日本は世界で最も先進的な電子書籍王国だろう。

 だが、日本は決して電子書籍先進国ではない。ケータイ小説やケータイ漫画は、一部の若年層のみの文化に過ぎず、電子書籍が老若男女問わず、広く受け入れられたわけではない。
 電子書籍は、決して「電子端末で読む本」だけを指す言葉ではない。
 好きなときに好きな本を購入でき、購入した本はすべてクラウド上で管理され、キンドル、スマートフォン、タブレットなど、デバイスを問わずに本が楽しめる。その感想をメモに書き込めば、世界中の読者と感想を共有できる。もちろん本の置き場所に困ることもなくなるし、何冊でも何十冊でも、本を持ち歩ける。本書で詳しく紹介するが、電子書籍とは、そしてキンドルとは、このような「読書システム」そのものなのである。

 キンドルの登場によって、流通をも含む僕たちの「読書環境」は、大きく変わるだろう。読書という「閉じた」世界が、これまでとはまったく異質の「開いた」世界へと変化するはずだ。
 この変化は、出版や読書という行為だけでなく、本の読み方や情報の伝播、あるいは文学などの研究にも大きく影響を与えるだろう。そしてこれらの読書によって、人々の結びつきが変わり、書籍そのものが大きく変わってくる可能性さえ秘められている。
 このように、紙の本からデジタルの電子書籍へという変化は、物から電子へという変化以上に、僕たちの生活に大きな影響を与えるものなのである。そんなわくわくするような世界が、キンドルによって始まろうとしている。

 本書では、キンドルによって何が変わり、何が変わらないのか。キンドルを使うと、どう便利になるのか。キンドルの使い方を紹介しながら、そんな読書環境について考えてみた。
 本書が、僕のような活字中毒者や本好きの読者の、新しい読書体験のスタートになっていただければ幸いである。

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