2014年5月28日水曜日

DRMフリー電子書籍のメリット

インディーズ作家の作品を掲載し、インディーズ作家応援マガジンとして電子書籍(電子雑誌)で発売されている「月刊群雛 (GunSu) 2014年 06月号」が発売された。今年1月末に最初の1号が発売されてから、月刊で5号目になる。

この電子書籍は、鷹野凌さんがGoogle+の「日本独立作家同盟」というコミュニティで始めたもので、毎号20人ほどの著者の作品を掲載する、まったく新しい電子マガジンだ。

とくにここ3号ほどは、巻頭に特別寄稿が寄せられ、「自己出版がもたらす未来を予測する——メディア史が教えること」(林智彦、4月号)、「僕がセルフパブリッシングできない理由」(まつもとあつし、5月号)、「ウェブ時代の書き手に必要な『3つの逆転』」(堀正岳、6月号)と読み応え十分で、新しい電子書籍時代を担う書き手の発掘雑誌としても注目されている。

各号に掲載する作品を「日本独立作家同盟」で募集し、実際の編集・作成作業はBCCKSで行っているそうだ。このBCCKS経由で、BCCKSはもとより、Amazon Kindle、楽天koboイーブックス、Apple、それにBookLive!、Sony Reader Store、紀伊國屋書店ウェブストアなど9ストアで発売されている。

6月号の発売は5月27日で、この日の午後には楽天koboイーブックスに、続いてアマゾンKindleに出てきて、購入できる状態になっていた。ぼくはこれまでいくつかのストアで購入してきたが、やはりアマゾンKindleが都合いいため、Kindleに出てすぐに購入した。

ところが、この6月号では配信先にiOSが選択できなかった。いま電子書籍の多くをiPad miniで読んでいるため、これは痛い。
実際にKindleストアの本のちょっと下に表示される「利用可能な端末」にポインタを合わせると、購入した本がどの端末のKindleで読めるかが表示されるが、ここにiOSが入っていない。

実はぼくが以前KDPを利用して出した電子書籍でも、発売当初iOSに対応していないことがあった。同じKindle本でも、通常のKindleやKindleアプリと、iOSのKindleアプリとは対応するファイルの種類が異なってくる。iOS版の場合、azk形式のファイルになるが、アマゾン側でうまく変換されず、iOSに対応しないまま販売されることがあるのだ。

この件については、ひまつぶし雑記帖のこのエントリに詳しいが、UTF-8でサポートしていない文字や記号が入っていたり、不要なスペースやPreタグがあるだけで、iOS版Kindleファイルがうまく作成されず、未対応のまま販売になってしまうケースが多いようだ。
長くなればなるほど、このあたりを見つけ出すのが大変で、こんなの変換時に対応してくれればいいのに、と思わないわけでもない。

まあ、KDPに問い合わせると、EPUB Validatorのエラーをつぶせとか、どこに問題があるとか返信があり、何とか対応したファイルに置き換えると、iOSにも対応した版として販売できるから、待っていればiPhoneやiPadでも読める版が出てくるのではないかと思う。

でも、それまで待てない。
そんなときは、Kindleで購入してからファイルを変換してみるのも手だ。なんといっても、月刊群雛はDRMフリーなのだ。

DRMというのは、デジタル著作権管理のことで、各ストアでは多くが著作権益を保護するためにDRMをかけた電子書籍を販売している。アマゾンKindleでも同じで、出版社から発売されている多くの電子書籍が、DRMをかけた状態で販売されている。
ところが、著作権の切れた著作、たとえば青空文庫の著作もある。DRMをかけずに販売したいという版元や著者もいるだろう。そのため、KindleではDRMをかけないファイルを販売することもできる。月刊群雛は、このDRMをかけない、すなわちDRMフリーの電子書籍なのだ。

とすれば話は簡単で、月刊群雛をアマゾンKindleで購入する。購入するときに配信先を選択するが、これはどの端末でもいい。iOS端末しかKindleに紐付いていないときは、ちょっと面倒だが、このときは「PC経由で転送」を指定すればいい。


他の端末、たとえばPaperwhiteやAndroid端末などを配信先として指定して本を購入する。指定した端末に本が落ちてくるが、これは気にしない。
次にKindleストアの上の方にある「My Kindle」をクリックして、自分のKindle管理ページに移動。これまでに購入した電子書籍やパーソナル・ドキュメントなどの一覧が表示されるから、このなかから「月刊群雛」を見つけ、その右端の「アクション」をクリックし、メニューから「端末に配信する」を指定する。これで指定した電子書籍が、ブラウザ経由でパソコンにダウンロードされる。

ダウンロードされるファイルは、どの端末向けのものかによってファイル形式が異なっている。が、心配ない。どの端末向けでも問題ないからだ。

次に電子書籍管理ソフトであるcalibreを起動する。もしまだcalibreをインストールしていないときは、Calibreのサイトで対応するOS用のファイルをダウンロードしてPC/Macにインストールしておこう。

calibreを起動したら、電子書籍の一覧の画面に、アマゾンからダウンロードした月刊群雛のファイルをドラッグ&ドロップする。さらに管理画面にあらわれた月刊群雛をクリックし、メニューから「本を変換」→「個別に変換」を指定し、あらわれた変換ウィンドウの右上の出力フォーマットを「EPUB」に変更して左側メニューから「EPUB出力」を指定する。
あとは画面の指示にそってファイルを変換すればいい。
変換したファイルは、最後に「ディスクに保存」を指定して、パソコン内に保存しよう。


これでKindleで購入した月刊群雛が、EPUB形式のファイルとしてパソコンに保存されるから、あとはiOS端末ならiBooksにでも登録してiPhoneやiPadで読めばいい。

DRMフリーだからこんなことが可能で、DRMが付けられたファイルは、これだけではファイルの変換や保存はできない。月刊群雛はDRMフリーだから、とりあえずこれでiOS端末で読み、いずれKindleでiOSに対応するファイルになったとき、改めてダウンロードすればいい。すでに購入した本だから、もちろん後で別の端末にダウンロードできる。

DRMフリーなら、ファイルの変換さえ行えれば、好きなリーダー用にファイルを変換して読める。いや、読めるだけでなく、電子書籍の管理も好きなリーダーで行える。

ただし、電子書籍のメリットというのはそれだけではない。ぼくがKindleを愛用するのは、Kindleのシステムが素晴らしいからだ。本を購入するのもさることながら、読んでいる本にハイライトやメモを付けると、これがamazonKindleに出てきて、ここで他の読者と感想などを共有したり、ハイライトをつけた部分を原稿に引用したり、他の読者がどこにハイライトを付けているのかを見たり、その読者が他にどんな本を読んでいるのかを見たりすることができる、そういう読書システムが素晴らしいからだ。

そういうソーシャル読書が、まだ日本では活発ではないが、いずれは新しい本の読み方として定着していくだろう。その最先端を走っているのが、アマゾンKindleなのである。


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